相合傘考
天気予報で「午後から雨模様」、「降水確率50%」とか聞くと、絶対に傘を持っていかないという男の話を聞いたことがあります。
天気予報を決して信じない偏屈者かと思いきや、さに非ず。
よほどの自信家とみえて、例の古典的な相合傘のパターン狙いの予定行動だったそうです。
しかし、友人が彼の家を訪ねてそこで見たものは、うず高く積まれたビニール傘の山だった…とか。
相合傘の図式に憧れる気持ちは理解できます。
が、そこはやはりお互いが傘を持っていることを前提に、男性側から女性に傘を差し出すのが古典的なルール、手順というものです。
この先、当の女性が差し出された男性の傘を受け入れられるかどうか、そこが二人にとって運命の分かれ道であることは言うまでもありません。
男にとっても女にとっても、下心あるいずれかの者には、ここは吉凶、緊張の瞬間です。
ですから、初めっから
「ボク、傘、忘れちゃった。入れてって」
こうした陽動作戦は、当事者たる女性ならずとも世の女性、あるいは心健やかな男性にとりまして、紛れも無く邪道の行為というほか無いでしょう。
だって、お洒落な女性用の傘は、二人で入るにはあまりに小さすぎますから。
<おしまい>
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