2008年3月1日土曜日

枕通

わが家は「枕通」でした。
そもそも、
「枕通」という言葉が有りや無しや、怪しいところでもありますが、雰囲気はご理解頂けるものと思います。

ソバ殻を手始めに、というより基本として、これまでに家族で試した枕の数は知れません。
プラスチックのパイプを1センチに満たない程の長さに切り刻んだもの、その直径のバリエーションを数パターン、それらを詰める量を微妙に調整したり、違う種類同士を混ぜ合わせてみたりして。
低反発といわれる素材もいくつも試してみました。

同じような素材であっても、後頭部から首筋にかけてのカーブに合わせたであろう形状の物や、フラットな物、なんとかガウスの磁石が埋め込まれた物とかまで、ただでさえ狭い押入れの中には、使わなくなってカバーも掛けられていない枕が押し込まれております。

なぜ、これほどにこだわったかと言いますと、寝つきが悪いから、肩が凝るから、安眠できないから、あるいは頚椎に悪い影響があるという噂を聞きつけて…などなど、さまざまな否定的材料を解消するために、あれこれ次々と試すことになっていったわけです。

そうした我が家で、ここ数年の長期にわたって使われておりますのが、「通販生活」の誌上で売られている1万円以上もする枕です。
あらためてネットで調べて、世の中には値段的にもっと高額な枕がありますことを知りビックリしたのですが、ウン万円とかの金額ではないにしろ、枕ひとつに1万円以上も掛けるのは我が家の常識の外のことでした。

裏を返せば、それまでは一つひとつが安い枕だったから、安物買いだったから何回も買い直しができたのかもしれません。

この枕が長期間の使用に耐えている理由としては、

① 経済観念説
高額な枕だから、その価格に比例して使用期間も自ずと長期化している、つまり「元を取らなきゃ」という経済的防衛本能に拠るものされる説

② 高品質説
そもそも枕そのものの品質が高いために、「枕通」たる我が家の厳しい審査基準をクリアし、なおかつ、実質的に使用に耐え得る枕であるという評価に基づいて使用されているという説

二説とも当たっていて、そこそこ影響しあっている感もありますが、いずれか一説と問われれば、使い心地が悪い品物に経済的防衛本能が優れて使用に耐えているとは言い難く、したがって②の高品質説に立ちます。

「その評価は?」
と問われれば、

「良い枕です」
のただ一言。

「寝心地は?」
残念ながら、この問いにはお答えできません。
寝ている当の本人には無理なことですもの。

さて、これまで枕がヘタって買い換えたという経験の無い我が家では、この先この枕こそ使い切って、
「そろそろ買い替えねッ」
という時期がきっと来ると思います。

買い替えの多さに由来する「枕通」を返上です。


<おしまい>


注:イタリアのファベ社が出しているメディカル枕と言われるものです。