2008年6月6日金曜日

孫 & ジョブズ

(私にとって)久々にスティーブ・ジョブズの名前を見た、と思ったら、それはソフトバンクとアップルとが携帯で提携する・・・という話題でだった。
ただ、別に驚くことではない。
これまでにも、 iPod が何処とくっ付くかでザワザワしていたわけだし、たしか丁度2年前には、ひと騒ぎあったことでもある。

騒ぎとは、ソフトバンクとアップルコンピュータがiPod内蔵型携帯電話を日本市場で発売するという一部報道に対し、一方のソフトバンクが
「報道機関の憶測記事であって、その内容はソフトバンクが機関決定し発表したものではない」
との見解を出した経緯のことを指す。

ここで「機関決定」とは、何か?
要するに経営の最高意思決定機関たる取締役会のこと。
ここで決まった事柄を指すわけだから、
「そんな大事なこと(かどうかは、各社の判断だが・・・)が取締役会で決められたわけではないのに、それって報道機関の勇み足でしょ!」
と言いたげ。

そんなこんなで、出ては消え、消えては出ての話題が故に、
「やっと話がまとまったの?」
あるいは
「今度も大丈夫?」
というのが正直な感想だ。

しかし、それにしても孫とジョブズの組み合わせは魅力的だ。
どんなiPod内蔵携帯が発売されるか・・・などと、その製品に注目する以前の話題としてのこと。

ジョブズといえば思い出される。
あのMacの供給に際して、いわゆるMac-OSのみとするのか、それともハード、つまりOS込みのPC本体と合わせてとするかの選択があったと聞く。
ジョブズはPC供給の途を選択し、その当時にはMacユーザーをして「似て非なる粗悪な模倣品」とまで揶揄せしめた、あの「窓」が後々に市場を席捲するを許してしまった、とされている。

ただ、その当時から一貫してPC本体をも含めたAppleのデザインは、工業デザインとして極めて優れていたし、PCとは外形をも含めた機能美・様式美の総合的な作品と言わんばかりのこだわりに惚れた・・・そんな"ジョブズ教の信者"が大勢いたことも確かだ。
その延長線上にあるiPodが、「携帯」できるという唯一の接点を頼りにソフトバンクを相手先に選んだのは、さて、如何なる理由からか?

私なりに両経営者の「意気投合」といった、結構、浪花節的な部分ではなかったかと思ってしまう。
ジョブズが浪花節を知っているかどうかは知らないが。
両氏とも、月並みな言い方をすれば「時代の寵児」として注目を集め、多少の分野の違いこそあれ、少なからず共通点がある中で、「先見性」という点において天才的であることに異論を挟む者はいない。

きっと、将来を見渡す両氏の視野の中に、「同じ何か」が見えたのではないか?

コーポレート・ガバナンスだとか、企業経営における小難しい仕組みを説く者が多い中、その必要性を認めながらも、
「発想や先見性までも統治することはできないのだ」
ということを痛感した。

果たして、両者とも今回の提携に関する機関決定に際しては、
「息が合うから」
などという、非論理的な、理屈じゃない理由が、その説明に持ち出されたのではないかな?

ソフトバンクもアップルも、そんな会社の雰囲気を、まだ保っていると思うよ、ホント。

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