2008年7月1日火曜日

ティザーサイト

「ティザーサイト」という言葉に出合った。
ただ、こうしたビズログの場面でとは思いもよらなかった。
そもそも「ティザー(または、ティーザー)」と「WEBサイト」を組み合わせた言葉だが、これもインターネットの普及以降の新語だ。
「ティザー」の意味するところだが、これは広告手法の一つであって、別名を「覆面広告」などとも言う。
(用語によって一気に怪しげな雰囲気が漂うのは面白い)

よくよく考えれば、セールスプロモーションの一手法なのだから、ティザー広告をブログで告知することは、今日なら当然のことだ。

企画会議などで、
「今度のSPは、ティザーで行こうか」
「いただきッ、それでキマリ! 早速コンテ画いて」
なんていう使い方をされるわけで、伝えるべき要素を意図的に明らかにしないで、そのことによって消費者の注目を集めようとするわけだ。

例えば、新車の正式発表を前に、車体全面を黒い布か何かで覆った映像をバックに、
「○月○日 その真実が明かされる…」
などとナレーションを入れたり、あるいはコピーやキャプションを配せば、正真正銘のティザーとなる。

さて、最近のリリースの中でのこと。
セキュリティソフト、ノートンでお馴染みのシマンテックでは、ノートンファイター を広告するにあたり、ティザーサイトを設けたとのことだった。
早速、そのサイトを訪問してみた。

ここでは、2008年7月8日 正式オープン予定のN.O.C.対決ゲーム告知の中で、
「じらされるのも、悪くないでしょ…」
という小悪魔風の明示的なコピーよろしく、これこそ「ティザー」を地で行っている。
ちなみに英語の "tease" は、「じらす」の意味なわけだから、先の台詞は包み隠すことなく「ティザー」であることを表明しているわけだ。

そこまで誘導しておいて、付帯するさまざまな商品情報をサイト上に展開し、意図して一緒に閲覧してもらおうという目論見なわけだ。

しかし、ここではたと考える。
ノートンの基調色であるイエローを主たるイメージとしたアニメあり、戦隊モノを彷彿とさせるド派手なサウンドあり、となれば、果たしてノートンが狙うマーケットとは?
私が知る限り、競合他社の広告宣伝の有り様とは、明らかに異なる。

その意味では、極力、教条的な表現を避けて直感的にコンピュータを取り巻く脅威を説明し、それに対策するノートンの優位性を解く企画の新規性に注目したい。
なんてたって、ティザーの対象がゲームなんですから。

だから、
「ビジネスの現場における情報セキュリティーのマネージメントに関しては…」
などと説教じみて始めると、甚だ小難しくなってしまうところを、戦隊モノ風アニメやゲーム・サイトのティザーに見られる具体的な表現を提供して、コンピュータ関連のセキュリティー問題をより身近に感じさせ、それら関心を一定のターゲット商品に引き寄せようとしている点において、広告効果を期待しているに違いない。

ところで、自宅の自前のPCならいざ知らず、オフィスのデスクトップでPCのスピーカーをオンにして、しかも音量を目一杯上げて、このサイトを観ることができるのかな…と考えてしまった。
その光景を想像するととても興味深いが、そうとでもして社員にセキュリティの必要性を説くような「懐の深~い」企業が必ずあると信じたいし、そうした企業こそ、活躍・発展してもらいたいものだと心から応援したくなる…、ホント。

PCのセキュリティーを担保するハードやソフトと並んで、それらとのヒューマンインターフェースが重視されている。対策するハード、ソフトの導入を必要最低限の条件として、私たち自身の意識に訴えかけることが必要だ。

ならば、そうした啓蒙のために、ゲーム・サイトの公開でもって
「じらされることくらい、決して悪いことではないよ」
って返事をしたくなる、例の小悪魔ちゃん!

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