2008年7月21日月曜日

期待を込めて「クロネコメンバーズ」をレビューします。

ヤマト運輸からクロネコメンバーズというサービスが開始されるというTVその他による告知を受けて、早速にサイトからエントリーしました。随分と前の話です。
後から知ったのですが、全国一斉のサービス開始ではなかったようで、カード発行が先行したものの、当地ではこれからサービス開始という頃だったようです。
程なく例のクロネコのキャラクターをあしらった黄色を基調色とするカードが届きました。
いわゆる「メンバーズカード」から来る勝手な、かつ、旧来のイメージからすると少しもの頼りない・・・ペラッとした感じです。
裏面に、IDとそれに対応するであろうQRコードが印字されています。

旺盛な好奇心も手伝って、直後に最寄の集荷所に荷物と共にカードを持ち込んだところ、それと思しきラックやプリンターが開梱されない状態で事務所の片隅に置かれているのを観てしまいました。
瞬間、
「こりゃ、早すぎたかな?」
所員の方も困った顔をしながら、
「申し訳ありません、ここでは、これからなもので…」
との、丁重なる断りの言を頂戴して、その折は普段のとおり手書きの伝票で発送を済ませました。

早いものでそれから数ヶ月。
季節が2つくらい過ぎていったこの時期に、忘れかけていた「クロネコメンバーズ」のことを急に思い出し、今度こそ試してみようとカード持参で同じ集荷所を訪れました。


さて、これから記す内容は、恐らく普段どおりの発送方法で依頼をしていれば気付かなかったことばかりだと思います。
クロネコさんのためを思って(笑)、少々お節介な話ですが、ちょっと整理してみました。

感想 その1
カードを受け付ける、その情報端末の前に集荷されたであろう荷物が、パレットまたはカートに載せられ山積みの状態でした。

「クロネコメンバーズ」を体験してみようと伺ったものですから、ハッキリと申し上げて興ざめでした。
このことに限らず、顧客にサービスを提供すべき当の設備や施設の前に、内部処理の途中経過が未了のまま残されているのは実にまずい。バックヤードで処理すべきだと思いますが、如何でしょう。
例えば、一流を名乗る旅館の玄関先や客室の窓から、客用の布団が干してあるのが見て取れるようなものです(笑)

セキュリティ上の観点からも、ユーザーに対して
「外来者の故意による抜き取りの可能性は無い」
と、安全性を宣言することが難しいのではないか、と心配すらしてしまいます。

さて、当の装置ですが、それら荷物を退かさない限りこのままでは使えません。今回も、黄色い例のカードを離れたところにいた所員の方に提示したら、慌てて前面の荷物を移動していました。

ところで、荷物を山積みしてあっても運用に影響が無い程に「サービスが普及していない」のかな?
同業種にしてみれば、この過当競争下での顧客の囲い込みに資するものとして、あるいは、単に伝票コストの削減という意味においても、運用が定着した以降の収益面での貢献度は大きいのではないか、と場外から密かに応援しているだけに、ちょっと寂しい気がしました。

感想 その2
送り状の宛先の登録が、タッチパネル式になっていますが、銀行のATMのようなもので、PCのキーボードに比べたら操作に大変な時間が掛かります。後から分かったことですが、ネットでアドレスの登録や修正ができるとのことでしたので、今回に使用した宛先以外は、わが家に戻って登録しました。
感想その1に記した状況もあってか、混んでいなかったからいいようなもの。
新規登録のために順番待ちが生じたと判断した際には、僕は順番を待ってまで使用しないと思います。

感想 その3
全ての条件が整った上で、つまり、前段階の処理が済んでいる状態で伝票を出力するには、確かに便利なことがよく分かりました。
カードをかざし、「ピッ」と反応したら、パスワード入力、宛先の選択・・・その他、選択による必要な入力の後に、プリンターからA4サイズの印刷物が出力されます。計時したわけではありませんが、感覚的には2分とかかっていないと思います。
ここで明らかに言えることは、手書きの場合に比較して速くて、正確(初期入力によります)だということです。手軽に使えて、便利です。
翌日のこと、別件で別の者が同じ集荷所から発送した際には、
「簡単だった」
の感想、たった一言でしたから。

ただし、サービスのつもりからでしょうか、横に付き添ってくれた所員の方が
「パスワードは6桁です」
と、余計な情報を入れた上に、これを言い張ったものだから、その者は少々、戸惑ったとか。
僕が設定したパスワード(端末からネットワークへのログイン・パスと思います)は9桁です。
その者には出掛ける前にこれを教えてあったもので、9桁の他に別の6桁を新たに要求されているのかと、戸惑いが生じたそうです。
担当者の方に対する慣熟訓練に問題ありと、思わざるを得ません。

感想 その4
クロネコメンバーズのサービスに関連したことではありませんが、伝票の記載事項に不足があることに、運用上の問題はありませんか?
「多少のこと、未記入、空欄があったって、届けばいいじゃん、届けば・・・」
そう、ささやく声も聞こえてきそうですが(笑)

僕が几帳面な性格だから・・・といえばそれまでです。
しかし、様式の上から明らかに記入を要求されている部分に記入がないのは、その伝票を受け取った側として気持ちのいいものではありません。(少なくとも僕の場合は・・・)
今、手元にある伝票(控)の内には「発店コード」と「担当者名」の欄がブランクのままのものがあります。
複数枚ある他の伝票には記入がありますが、明らかに均等なサービスを旨とするこうした全国規模店においては教育の徹底を、と進言せざるを得ません。

この考えは、僕が個人のユーザーとして、その立場だけから申し上げているのではなく、おそらく企業の内側から業務監査的な視点に拠り、敢えて申し上げているものなのだと思います。

当該社のマニュアルには
「書いても書かなくてもいい」
とされているのかどうか、それともこの件について何らの記述も無いのか、実の所は定かではありません。しかし、もしそう書かれているのでしたら、あるいは、何らの記述も無いようでしたら
「必ず記入すること」
と明記するよう、マニュアルを改めるよう主張することになるでしょう。
(前後関係、背後関係を視ぬままの勝手な意見を容赦ください。)

ユニークな伝票番号1つで、一極に情報を高度に集中させリアルタイムで管理をされている実情を考えれば、「発店コード」など記入がなくとも、組織の内部においては問題ないかもしれません。
が、発店で荷受を担当した方の名前は、どのように管理されるのでしょう?
「担当者名」は、控の伝票を見る限りでは、システム上で管理されるべき項目には含まれていない模様なのですが、顧客とのインターフェースという場面では、担当者名の記入の有無は、顧客に安心感を与えるという意味で、とても重要な要素ではないかと考えます。
所定の欄に、ボールペンでたったの2、3文字、苗字を入れるだけのことで顧客に安心を与え、以って解決できる問題だとは思いませんか。

記入に漏れが有っても無くても、いずれの伝票に係る送付も、無事故で先方に届いていますから、その主たる目的としたサービスは、これまで無事に完遂しています。
したがって、ここで整理していることは、何か具体的な事故や問題があったからとしてのクレームなどでは一切ありません。

ただ、ここで一考を要するのは次のことです。
つまり、この事業においてユーザーが求めているサービスとは
「荷物を運ぶ、届ける」
だけでは無くなっていると考えます。
それであればこそ、「クロネコメンバーズ」のような折角の新機軸が付加する新たなサービスを、成功裏に見守っていたいと期待している・・・

まずは、クロネコメンバーズの発展をお祈りしています。

<完>